松浦農園(オーガニック野菜)

有機野菜と言葉にするとたった4文字ですが、それを実現する為にどれだけの戦いが必要か。
天候との戦い、気温との戦い、雑草との戦い、虫との戦い、自分との戦い・・・。
松浦さんは飄々と、と言ったら怒られそうですが、苦もなくこなしているように見えました。
しかし色々とお話をさせてもらううちに、精神力の強さが神レベルではないかと思うようになりました。

松浦さんは夏の間の畑を黒いシートで覆い、一ヶ月以上かけて土壌を殺菌します。
地中深くまで熱消毒され、雑草が生えなくなります。
秋になったら種を蒔き、今度は虫をよける為にネットをかぶせて育てます。
恐るべき労力が必要な作業を淡々とこなします。

松浦さんの有機農法は物理的で体力勝負の農法です。
これだけ労力をかけて育てる野菜ですが、
収穫前に一晩強くふいた風でネットが数センチ開き、一畝に虫がついていました。
虫捕らないんですか? と聞いたら、一言そこは諦めると言いました。
ネットが開いたのは俺のミスだし、虫を捕る暇があったら次の作物を育てると。

諦める?
何かよくわからない衝撃が走ったのを覚えています。
松浦さんの作った野菜は、不思議な味がします。
カブなのに桃のようだったり、枝豆も生で食べたら命の味がしました。

畑を訪れるたびに「菅原さんへの挑戦状」と言って作物を手渡されます。
重い重い挑戦状ですが、心が軽くなって帰れます。
僕はジャズを聴きながらそっくりの飼い犬と野菜を選別する松浦さんの大ファンなんです。