イベリコ豚発祥の地で(2日目 工場編)

イベリコ豚発祥の地で(2日目 工場編)

今回は命をもらう現場の写真が使われます。
見たくない人は飛ばしてください。
美味しいとか不味いとか言う以前に、僕らは他の命を頂いて生きてます。
今の世の中は巧妙にそこを隠していますが、目を逸らす事で大事な何かや企業の悪事
を野放しにしている可能性があります。
正直、人間と同じ大きさの豚の解体を目の前で見て受け止められるか、僕も自信があ
りませんでした。でも経験して良かったと思います。
それでは始めます。

モンテサーノ社は早朝のと殺から始まります。全行程は近くに泊まらなければ見るこ
とができません。工場長のセシリアの案内で、イベリコ豚を殺す所から工場見学は始
まりました。

工場の奥へ進むにつれて、匂いが普通でなくなってきます。ここはやばいと全身が叫
びます。僕は心をなだめながら、同時に覚悟を決めながら進みます。

突然広い部屋に通じ、バーナーの音、水をかけるハイプレッシャー音、ベルトコンベ
ア、作業員の息づかいなどの音の塊とともに、血と内蔵と焼いた毛の匂い、そして目
に飛び込んでくるのは吊るされて順番に回っていく豚の姿。

隣の部屋で生きている豚が電気ショックで意識を失い、吊るされて喉を開かれます。
大量の血が流れ出ます。大きなバーナーで毛を焼かれます。

刀のような包丁で身体を2つにかっ捌く人、内蔵を取り出す人、顔を切り取る人、各
持ち場で作業員は黙々と自分の仕事を豚に施していきます。

僕は何も考えずにその光景を胸に刻んでいきます。
目をそらす事も意識を閉ざす事も出来ませんでした。
そこで行われている作業や光景をただ焼き付けました。
手に血が付いても気になりませんでした。

感傷的ではない、何か大きな感動のようなものが湧き上がってきました。
殺し殺される人類の営みというプリミティブな生命のダイナミズム。
宇宙? 神様? 今まで見た事のない自分・・・。

良い経験となりました。ありがとうございました。
僕はここから生ハム作りの行程へ進みます。
本場の作り方をマスターすることがこの旅の大きな目的だったので、セシリアと廻れ
たの大変貴重な事でした。

ここは興味がある方も多いと思うので、と殺の写真のない別の枠でやります。この先
はそちらへ。

工場見学の後、僕は農場へイベリコ豚たちに会いに行きます。
これも別枠でやらせてもらいます。